生まれも育ちも江戸の通詞クラスの家に生まれ、品格、教養、家柄ともに裕福な家の出身でありながら、これまでの江戸の町人の子息には見られない好奇心を持つ青年、伊嶋壮多(いじまそうた)は、幼い頃からあらゆる言葉を音読し、言語を学ぶことに情熱を注いでいた。ある日、壮多の父・伊嶋良助(いじまりょうすけ)が通詞として勤める国家老・松平忠良(まつだいらただよし)の密命を受け、長崎へと出張することになった。しかし、良助は帰って来ることはなく、壮多の母は心労から倒れてしまう。壮多は父の失踪の謎を解き明かすため、江戸から長崎へと向かう。長崎に着いた壮多は、父が密かに調査していたという密輸事件の真相と、謎の男・神頭有右生(こうずゆうせい)の存在を知る。有右生は、壮多の父が失踪した当日に長崎に現れたという謎の男で、壮多の父の調査にも関わっていたようだ。壮多は有右生と接触し、父の行方や事件の真相を知るために、有右生が経営する「神頭商会」で働き始める。しかし、神頭商会は密輸を行っていることが判明し、壮多は自分が巻き込まれた謀略に気づく。やがて、有右生の正体や密輸事件の真相が明らかになり、壮